「猫を飼うって、こんなに大変なの…?」
30代後半の私、桜井結衣は、SNSで流れてくる可愛い猫の動画を見るたびに、ため息をついていました。ふわふわの毛並み、愛らしい仕草。しかし、保護猫を迎えて早2年、現実は想像と大きく違いました。
リビングの壁には無数の引っ掻き傷。お気に入りの花瓶も割られ、夜中には部屋中を走り回る運動会。「こんなはずじゃなかった…」と、心の奥底で後悔の念がよぎることも。友人との旅行も、猫を預ける手間や費用を考えると、なかなか踏み切れません。可愛いだけじゃない、猫とのリアルな生活に、私は戸惑いを隠せずにいました。
SNSでは見えない猫との生活:私が直面した「悪かったこと」
私が猫を飼って直面した「悪かったこと」は、SNSのキラキラした世界には決して載っていない現実でした。
- 部屋の損傷と物の破壊: 壁紙や柱が爪とぎでボロボロに。お気に入りの家具や雑貨が壊れ、観葉植物も置けなくなる。
- 旅行や外出の制限: 長期不在時のペットホテルやシッター手配は費用も手間もかかる。猫へのストレスも心配で、気兼ねなく旅行に行けない束縛感。
- 夜中の運動会と睡眠不足: 猫は夜行性。夜中に活発に動き回り、走り回る音や鳴き声で睡眠を妨げられることも。
- 予想以上の出費: フード、トイレ砂、おもちゃ、定期的なワクチンや健康診断に加え、突然の病気や怪我で高額な医療費がかかることもあり、家計を圧迫する不安。
「もうダメかもしれない…」そんな気持ちが募っていたある日、私は獣医として働く友人、田中美咲に電話で相談しました。
獣医の友人が教えてくれた、猫との「本当の向き合い方」
「君、猫を飼うって、実は完璧な『理想』を捨てることから始まるんだよ」美咲の声は優しく、私の心に染み渡りました。
私「でも、SNSではみんな幸せそうで…私だけが苦労してるのかなって…」
美咲「そんなことないよ。みんな大変なことは見せないだけ。猫は野生の本能を色濃く残した生き物だからね。壁を引っ掻くのも、高いところに登るのも、彼らにとっては自然なこと。大切なのは、それを『悪いこと』と捉えるんじゃなくて、『猫の本能』として理解し、どう共存していくかを考えることだよ。」
美咲は具体的な対策も教えてくれました。「爪とぎは、色々な素材を試して猫が気に入る場所を見つけるのが大事。夜中の運動会対策には、日中にたくさん遊んであげる時間を作るといいよ。旅行の時は、信頼できるペットシッターさんを見つけるか、猫に慣れた友人に頼むのも一つの手。何より、猫との生活には『許容』と『工夫』が不可欠なんだ。」
「悪かったこと」を乗り越えた先に待っていた、かけがえのない「良かったこと」
美咲の言葉を胸に、私は猫との向き合い方を変えました。壁には保護シートを貼り、爪とぎは数カ所に設置。夜は寝る前に全力で遊んであげました。すると、驚くほど猫の行動が変わっていったのです。壁の傷は減り、夜中に走り回ることも少なくなりました。
デメリットを乗り越える中で、私は猫との生活がもたらす「かけがえのない喜び」を深く実感しました。
- 無条件の癒しと安らぎ: 疲れて帰ると玄関で出迎え、膝に乗ってゴロゴロと喉を鳴らす。その温もりと振動は、何よりも心を癒してくれる。
- 小さな発見と笑顔の日々: 予想外の場所で寝ている姿や、おもちゃで無邪気に遊ぶ姿に心が和む。日々新しい発見がある。
- 責任感と成長: 一つの命を守る責任感が自分を強くし、猫の気持ちを理解しようと努力することで他者への想像力が深まる。
- 家族の絆の深化: 猫を通じて家族間の会話が増え、みんなで世話をすることで一体感が生まれる。
デメリットを「悪」と決めつけず、猫という生き物の本質を理解しようと努めたことで、私たちの関係はより深く、豊かなものになりました。今では、壁の傷も夜中の運動会も、全てが愛おしい「うちの子」の個性だと受け入れられるようになりました。
猫を飼う前に知っておきたいQ&A
Q1: 猫を飼うのに向いている人、向いていない人はいますか?
A1: 獣医の友人によると、猫の本能的な行動を「個性」として受け入れ、工夫して共存しようと思える人が向いています。完璧を求める人や、潔癖症の人はストレスを感じやすいかもしれません。
Q2: 部屋の損傷を防ぐ効果的な方法は?
A2: 猫が好む素材や形状の爪とぎを複数用意し、よく爪とぎをする場所に設置するのが効果的です。壁には市販の保護シートも有効です。
Q3: 旅行に行きたいのですが、猫はどうすれば?
A3: 短期なら自動給餌器で対応できる子も。長期の場合は、ペットホテル、ペットシッター、または猫に慣れた友人・家族に預けるのが一般的です。早めに信頼できる預け先を見つけると安心です。
完璧じゃないからこそ、愛おしい。猫との「リアル」な幸せを見つけよう
猫との生活は、決してSNSで見るようなキラキラした部分だけではありません。部屋の損傷、旅行の制限、夜中の騒音、そして予期せぬ出費…。たくさんの「悪かったこと」に直面するかもしれません。
しかし、それらのデメリットを乗り越え、猫という生き物の本質を理解し、工夫を凝らすことで、私たちは想像以上の「良かったこと」を手に入れることができます。無条件の癒し、日々の小さな発見、そして何よりも、かけがえのない命との深い絆です。
もしあなたが今、猫を飼うかどうか迷っているなら、ぜひこのリアルな側面を知った上で、覚悟を決めてください。そして、困った時は、私のように専門家や経験者に相談してみてください。完璧じゃないからこそ、猫との生活は奥深く、そして、とてつもない幸福感に満ち溢れているはずです。
この記事を書いた人
桜井 結衣 | 38歳 | 暮らしとペットに関するwebライター
30代後半の2児の母。SNSで見た猫の可愛さに憧れて猫を飼い始めたものの、現実の厳しさに直面。獣医の友人やペットショップの店員からのアドバイスを元に、猫とのより良い共生を模索する中で、その奥深さと喜びを再発見。自身の体験を元に、リアルで役立つ情報発信を心がけています。
