「年末年始、実家に帰省します」
上司へのその一言は、私にとって幸福な響きであると同時に、重い重い葛藤の始まりを意味していました。
カレンダーには「4泊5日」の文字。
実家(仙台)で待つ家族の顔が浮かびます。でも、その瞬間、私の足元に擦り寄る温かい毛玉…愛猫の「ソラ」(メス・6ヶ月)の存在が、私の胸を締め付けました。
(この子、どうしよう…)
あなたも今、同じ悩みでこのページに辿り着いたのではないでしょうか。
- 数日間の帰省や旅行。愛する猫をどうすべきか。
- 「猫は家につく」という一般論と、「この子に限って一人ぼっちなんて無理」という本音の板挟み。
- 新幹線や車での長距離移動なんて、ストレスで体調を崩してしまうかも…。
- かといって、ペットシッター?知らない人を家に…?いや、それは無理。
わかります。私も数ヶ月前まで、その「八方塞がり」の暗闇で、出口を見失っていました。ネットで「猫 帰省 どっち」と検索しては、二分割される意見にさらに混乱し、夜も眠れないほど悩みました。
これは、そんな私が「4泊5日の留守番は、うちの子(ソラ)には不可能かもしれない」という仮説を立て、最終的に「東京→仙台(新幹線 約3時間半)」の長距離移動を決断し、無事に乗り越えるまでの、あくまで一個人の体験談です。
【はじめに:この記事のスタンス】
この記事は、「猫は連れて帰るべきだ」と主張するものではありません。
「飼い主と一緒より、住み慣れた家にいる方が安心」という猫も多いという研究結果もあります。
これは、あくまで「うちの子(甘えん坊・6ヶ月)の個性」と「私(シッターが使えない)の事情」を天秤にかけた結果、私たちが「移動」という選択をしたという記録です。
もしあなたが、「うちの子はソラとタイプが似ているかも」「シッターという選択肢が自分にもない」…そう悩んでいるなら。
この記事が、あなたの判断材料の一つになれば幸いです。
絶望の始まり。4泊5日の帰省と「ペットシッター無理」という個人的な壁
私の愛猫「ソラ」(6ヶ月)は、極度の甘えん坊
ソラは、生後2ヶ月で保護団体から迎えた、キジトラの女の子です。
小さな体で必死に生きてきた反動なのか、ソラは私への依存度が非常に高い、いわゆる「甘えん坊」な猫でした。
- 私がお風呂に入れば、ドアの前で鳴き続ける。
- トイレに入れば、足元で待機。
- 夜は必ず、私の腕枕で喉を鳴らしながら眠る。
それは、飼い主としてこの上ない幸福。
でも、その「幸福」が、今回の帰省問題で「最大の枷(かせ)」になりました。
(4泊5日…。実質、丸4日間もソラを一人ぼっちに…?)
想像しただけで、心臓が凍りつきました。
「猫は留守番」という一般論と、拭えない不安
「猫 帰省」で検索すると、真っ先に出てくる言葉。
「猫は家につく動物。移動ストレスをかけるくらいなら、留守番させるべき」
そう、それが「常識」でした。
多くのブログやQ&Aサイトがそう書いていました。
「自動給餌器と、新鮮な水をたっぷり用意すれば3〜4日は平気」
「猫は一人の時間も必要」
(そうか…やっぱり、留守番させるしかないんだ…)
私はその「一般論」に自分を無理やり納得させようとしました。
ここで、多くの方が「ペットシッター」や「ペットホテル」を検討すると思います。それが、猫にとっても飼い主にとっても、最も合理的で安心な選択肢である場合が多いことも理解していました。
しかし、どうしてもダメだったんです。
これは私の個人的な特性なのですが、「知らない人をプライベートな空間(家)に入れる」ことに、言葉にできないほどの強い抵抗感がありました。ソラが警戒する姿を想像するのも辛い。(ペットホテルも、ソラの性格上、ケージで数日過ごすのは難しいだろうと判断しました)
(私のこの性格のせいで、ソラの選択肢を狭めている…)
罪悪感を感じながらも、私に残された選択肢は「留守番」しかないように思えました。
あの日、あの「テスト」をするまでは。
【失敗談】12時間の「お留守番テスト」が招いた悲劇
「いきなり4泊は無理でも、少しずつ慣らせば…」
そう考えた私は、帰省の1ヶ月前、ソラに「お留守番テスト」を試みました。
朝7時に家を出て、あえて帰宅を遅らせ、夜の10時に帰る。約15時間のお留守番です。
カメラも設置し、万全の体制のつもりでした。
ガチャリ、と玄関のドアを開けた瞬間。
いつもなら駆け寄ってくるはずのソラが、いません。
「ソラー?ただいまー?」
シーンと静まり返った部屋。
リビングのドアを開けた瞬間、私は言葉を失いました。
床に、トイレの砂が散乱していました。
そして、トイレのすぐ横で、ソラが粗相をしていたのです。一度も失敗したことのなかった子が。
さらに、私のお気に入りで、ソラもいつも上で寝ていたクッションが、爪で引き裂かれ、中の綿が飛び出していました。
「ソラ…?」
声のする方へ向かうと、ソラはベッドの下の、一番暗い隅で、小さなうなり声をあげていました。
「シャーッ!!」
私に向かって、威嚇したのです。あんなに甘えん坊だったソラが。
その瞬間、血の気が引きました。
カメラの映像を確認すると、私が家を出て3時間を過ぎたあたりから、ソラは尋常ではない声で鳴き続け、部屋を徘徊し、クッションを掻きむしり、そして…粗相をしていました。
(ごめん…ごめんね、ソラ…!!)
抱き上げようとする私を拒絶し、隅で震える小さな背中を見ながら、涙が止まりませんでした。
(こんなはずじゃなかった…!)
(私の都合で、この子をこんなに不安にさせて…!)
(たった1日弱でこれなのに、4泊5日なんて…絶対に、無理だ)
「一般論」が、ガラガラと崩れ落ちました。
この子は、「一般論」で語れる猫じゃない。少なくとも、「我が家のソラ」にとっては、長時間の孤独は耐え難いストレスになる可能性が非常に高い。
私にとって、ソラを4泊5日も孤独にさせることは、「虐待」に等しいと感じてしまいました。
(※これはあくまで私の主観であり、分離関連行動の出方には個体差があります)
「この子を孤独にはさせられない」— 八方塞がりで見えた一筋の光
「もう帰省やめるか…」母の顔がよぎる
「(ソラにとっての)留守番」は不可能。
「(私にとっての)ペットシッター」も無理。
残る選択肢は「連れて行く」か「帰省を諦める」の二択でした。
でも、「連れて行く」なんて…新幹線で3時間半。鳴いたら?パニックになったら?周りの人に迷惑をかけたら?
考えれば考えるほど、ネガティブな想像しかできません。
(もう、ダメかもしれない…)
(今年は、帰省をやめよう…)
そうスマホで母に「ごめん、今年は…」と打ちかけた時。
ふと、楽しみにしていた母の顔が浮かび、指が止まりました。
(私のせいで、家族をがっかりさせたくない…)
(ソラにも、家族にも申し訳ない…)
八方塞がりでした。
もう私一人では判断できない。
その時、ふと頭に浮かんだのが、ソラをいつも診てくれている、かかりつけの獣医さんの顔でした。
【転機】かかりつけ獣医の「個体診断」
「先生…私、どうしたらいいんでしょうか…」
翌日、私は半泣きで動物病院の診察室にいました。
これまでの経緯、ソラの甘えん坊な性格、留守番テストの失敗、シッターへの抵抗感、すべてを正直に話しました。
先生はカルテを見ながら、そして私の目をじっと見ながら、静かに聞いてくれました。
そして、一言。
「ソラちゃんの性格と、そのテスト結果を見る限り…連れて行ってあげることも、有力な選択肢だと思いますよ」
「え…?でも、移動のストレスが…」
予想外の言葉でした。
「猫は家につく動物だから、留守番が基本」…そう言われると思っていたのに。
「もちろん、移動がノーストレスなんてことはありません。でも、よく考えてください」
先生は続けました。
「ソラの性格、そしてさっきのお留守番テストの結果を聞く限り、彼女は『分離不安』の傾向が強いタイプかもしれない。彼女にとっての最大のストレスは『移動』ではなく『あなたと長期間、完全に分離されること』である可能性があります」
「分離…」
「それに、ソラちゃんはまだ6ヶ月。若くて順応性が高い時期…とは一概には言えませんが、成猫になってテリトリー意識がガチガチに固まる前に、ポジティブな移動体験を積ませるチャンスとも言えます。この時期に『飼い主さんと一緒なら、知らない場所も怖くない』という成功体験を積ませることは、将来の災害避難や、他の病院へ行く時にも役立つ『社会化トレーニング』になる可能性もあります」
そして、先生は私に判断の軸をくれました。
「一般論の『猫は家につく』は、多くの場合正しいです。研究でもそういう結果は出ています。でも、ソラちゃんの場合は、その『家』という環境の安心感よりも、『あなた』と離れることの不安が上回る可能性が高いタイプかもしれませんね」
(そっか…)
(科学的な正解は分からないけど、ソラの個性を一番知ってるのは私と先生だ)
(私がいないなら、この家もソラにとって安心できる場所じゃなくなるかもしれない)
「一般論」という呪縛から解放され、「我が家のソラにとっての最適解は何か」という視点を持てた瞬間でした。
「移動ストレス vs 孤独ストレス」— 私の主観的な選択
獣医さんの言葉で、私はトレードオフ(どちらを取るか)の覚悟を決めました。
- リスクA:留守番(孤独ストレス)
- 期間:4泊5日(約100時間以上)
- 状況:飼い主はいない。孤独。
- 懸念:留守番テストで粗相・破壊行動・威嚇を確認済み。万が一体調を崩しても誰も気づけない。
- リスクB:連れて行く(移動・環境変化ストレス)
- 期間:片道3〜4時間 × 往復 = 約8時間 + 滞在
- 状況:飼い主がそばにいる。ケアができる。
- 懸念:移動中にパニックになるかも。体調を崩すかも。
どちらがソラにとってストレスが少ないか、定量的な証拠はありません。
でも、私は「リスクA(孤独)」の方が、ソラの精神にとって深刻なダメージを与え、取り返しがつかなくなる可能性が高いと判断しました。
「先生、私、連れて行きます。徹底的に準備します」
「いい覚悟ですね。それなら、ただ連れて行くんじゃダメです。ソラにとって、移動と滞在が『成功体験』になるよう、徹底的に準備をしましょう」
その日から、私の「帰省プロジェクト」が本格的に始動したのです。
獣医に教わった「移動を成功させる」ための全準備リスト【体験談】
獣医さんから教わったのは、「不安をゼロにする」ことではなく、「猫が予測可能で、安心できる環境を、移動先でも再現すること」でした。
準備1:【最重要】キャリーバッグを「罰の箱」から「安全基地」に変える
これが全ての鍵でした。
それまでソラにとって、キャリーバッグは「病院(怖い場所)に連れて行かれる、罰の箱」でした。
これを、「世界で一番安心できる、私の匂いがする個室(安全基地)」に変える必要がありました。
- 「しまい込まない」
- まず、キャリーバッグを押入れから出し、リビングの一番いい場所(ソラがいつもいる場所)に、扉を開けたまま常設しました。
- 「中で良い体験をさせる」
- 最初の数日は警戒していましたが、中にソラのお気に入りの毛布(私の匂いもつけた)を敷き詰めました。
- そして、ご飯やおやつを、必ず「キャリーバッグの中」で与えるようにしました。
- 「ここに入れば、美味しいものがもらえる」と学習させます。
- 「慣れたら扉を閉める」
- 中でリラックスして毛づくろいをしたり、寝たりするようになったら(私の場合1週間かかりました)、扉をそっと閉めます。
- 最初は10秒。次は30秒。次は1分。
- 「閉められても、必ず開くし、怖いことは起きない」と教えます。
帰省当日には、ソラは自らキャリーバッグに入って眠るほど、そこを「安全基地」と認識してくれました。
準備2:新幹線も怖くない!「移動シミュレーション」の具体的なステップ
「安全基地」ができたら、次は「基地ごと移動する」訓練です。
- 「家の中での移動」
- ソラがバッグに入った状態で、家の中を持ち歩きます。
- 「揺れるけど、大丈夫」と優しく声をかけ続けます。
- 「玄関の外、マンションの廊下」
- 次に、玄関の外へ。外の音、空気の変化に慣らさせます。
- 最初は1分で帰宅。徐々に時間を延ばします。
- 「(可能なら)車や電車の音」
- 私は車を持っていなかったので、キャリーバッグを抱えたまま、近くの交通量の多い道路脇や、駅の改札の外(音だけ聞こえる場所)に数分間立ち、雑音に慣れさせました。
- 新幹線は突然乗るのではなく、「こういう大きな音がするんだよ」と予行演習をしておくのです。
準備3:実家を「敵地」から「第二の家」にする環境整備(家族の協力)
これが盲点でした。移動が成功しても、滞在先がストレスフルでは意味がありません。
- 「家族への徹底した事前連絡」
- 実家の家族(両親、兄弟)に、ソラを連れて行くこと、そして「絶対に守ってほしいルール」をLINEで何度も送りました。
- 「着いてもすぐに出さないで」「構いすぎないで」「絶対に窓や玄関の開閉に気をつけて(脱走防止)」
- 「セーフゾーン(専用部屋)の確保」
- 獣医さん曰く、「知らない家全体をテリトリーと認識させるのは無理。まずは『ここだけは絶対安心』という小さな部屋(セーフゾーン)を作ってください」とのこと。
- 私は、実家で私が使う予定だった客間(6畳)を「ソラ専用ルーム」にしてもらうよう頼みました。
- 「匂いの引越し」
- 実家には、ソラが使っているトイレ、爪とぎ、ベッド、おもちゃ、食器、すべてを「洗わずに」持っていくことにしました。(事前にダンボールで実家に郵送)
- 自分の匂いがするもので部屋を満たし、「ここはあなたのテリトリーだよ」と錯覚させるためです。
【実録】東京→仙台3時間半!新幹線移動と実家滞在の一部始終
そして、ついに帰省当日。
準備は万端。それでも、心臓はバクバクでした。
当日の朝(食事、持ち物チェックリスト)
- 食事: 獣医さんの指示通り、当日の朝ごはんは「抜き」ました。移動中の車酔い、吐き戻しを防ぐためです。
- トイレ: 家を出る直前に、キャリーに入れる前に必ずトイレに行かせました。
- 持ち物(手荷物):
- ソラ(キャリーバッグ)
- JRの手回り品きっぷ(290円。必須です)
- 水とシリンジ(スポイト)
- ペットシーツ(大量)
- おやつ
- 目隠し用の大きな布(ストール)
- 携帯トイレ(折りたたみ式)
新幹線での攻防。鳴き声対策と私の「心の声」
東京駅。帰省ラッシュでごった返すホーム。
私は「ペット可」のマークがある車両(多目的室に近い車両)の、一番後ろの席(座席の後ろにスペースがある)を予約していました。
キャリーバッグは足元に置き、買っておいた「目隠し用の布」を上から被せ、外が見えないようにしました。
新幹線が動き出した瞬間。
「ニャー…」
か細い声が聞こえました。
(来た…!お願い、鳴かないで…!)
周りの乗客の視線が(気のせいかもしれませんが)突き刺さります。
私はすかさず、布の隙間から指を入れ、ソラの鼻先を撫でました。
「大丈夫、大丈夫だよソラ。一緒にいるからね」
(怖いよね、ごめんね、頑張れ、もうすぐだからね)
心の中で、ずっとソラに話しかけ続けました。
最初の30分は、不安そうに時折鳴いていましたが、指を入れ続けていると、やがて諦めたのか、静かになりました。
(獣医さんから「移動ストレスを和らげるサプリ」も処方してもらっていたのが効いたのかもしれません)
仙台までの3時間半、奇跡的に一度も大きな声で鳴くことなく、じっと耐えてくれました。
(この子の順応性を、私(飼い主)が一番信じていなかったのかもしれない…)
実家到着後の「3つのルール」(セーフゾーンの徹底)
実家に到着。
「ソラちゃーん!」と駆け寄る家族を制し、私はソラが入ったキャリーバッグごと、決めておいた「セーフゾーン(客間)」へ直行しました。
ここで、獣医さんから言われた「到着後の3つのルール」を実行します。
- ルール1:すぐにバッグから出さない。
- まず、部屋の真ん中にキャリーバッグを置きます。そして、扉だけを開けます。
- 猫自身の意志で「外に出る」のを待つのです。 無理やり引っ張り出してはいけません。
- ルール2:最初は「その部屋だけ」で過ごさせる。
- ソラは10分ほど警戒していましたが、ゆっくりと外に出てきました。
- 部屋には、あらかじめ送っておいたソラの匂いだらけのトイレやベッドが置いてあります。
- ソラは、くんくんと匂いを嗅ぎ回り、真っ先に自分のトイレの砂をかき始めました。(=安心した証拠!)
- この日は、絶対にこの部屋から出しませんでした。
- ルール3:家族は「無視」する。
- 「構いたい」家族には我慢してもらい、ソラが自分から寄ってくるまで、存在を無視してもらいました。
- 猫にとって、知らない人間にジロジロ見られるのは最大のストレスです。
最初は隅で固まっていたソラですが、2時間もすると、持参したおもちゃで遊び始め、夜には私の膝の上で喉を鳴らし、腕枕で眠り始めました。
(よかった…!!)
(連れてきて、本当によかった…!!)
心から安堵した瞬間でした。
4泊5日の滞在中、ソラはその部屋を「安全基地」とし、3日目にはリビングにも恐る恐る出てくるようになり、無事に帰省を終えることができたのです。
帰省を終えて。私と愛猫が得た「かけがえのないもの」
東京の自宅に帰ってきたソラは、ケロッとしていました。
体調を崩すことも、ストレス行動を見せることもなく、すぐにいつもの日常に戻りました。
あの「お留守番テスト」の後の、怯えたソラとは別猫でした。
試練を乗り越えた絆。「移動に強い猫」の誕生。
この帰省は、私とソラにとって、間違いなく「試練」でした。
でも、それを乗り越えたことで、私たちは「かけがえのないもの」を手に入れたかもしれません。
それは、「飼い主(私)といれば、知らない場所でもなんとかなる」という、ソラの(かもしれない)小さな自信です。
そして、「私はこの子の個性を理解し、守るために最善の準備ができる」という、私の覚悟です。
もしあの時、私が「一般論」に流され、ソラを100時間も孤独にさせていたら…
もし私が「失敗するかも」と怖気づき、帰省を諦めていたら…
きっと、今でも何かあるたびに悩み、ソラとの絆も、今ほど強いものにはなっていなかったかもしれません。
【重要】ただし、これは「我が家の場合」です
最後にもう一度、強調させてください。
今回の成功体験は、あくまで「ソラの個性」と「我が家の事情(シッターが使えない)」と「徹底した準備」が噛み合った結果です。、
- 「家にいる方が安心」という猫は非常に多いです。 (研究結果もあります)
- 移動が極度のストレスになり、体調を崩す猫もいます。
- 「若齢だと順応しやすいこともあるが、個体差が大きい」
- 信頼できるペットシッターやペットホテルは、最も有力で安全な選択肢の一つです。
「一般論」より「あなたの猫の個性」を信じて、と書きましたが、それは「一般論(科学的な傾向)を無視していい」という意味ではありません。
一般論を理解した上で、「でも、うちの子の場合はどうだろう?」と、個性を深く観察することが重要なのです。
あなたはどっち?「連れて行く」vs「留守番」最終判断チェックリスト
🟩「連れて行く」も選択肢になるケース
- 猫の性格: 飼い主への依存度が高い、分離不安の傾向が(テストなどで)確認できる。
- 猫の経験: 過去にキャリーや移動でパニックを起こしたことがない。(または、時間をかけた訓練が可能)
- 飼い主の事情: 信頼できるシッターやホテルの選択肢がない。
- 不在期間: 3泊(丸3日)以上。(※1〜2泊なら留守番が推奨されます)
- 移動時間: 片道4〜5時間程度まで(これ以上は猫への負担が大きすぎます)
- 滞在先: 猫専用の「セーフゾーン(個室)」を確保でき、家族の協力が(脱走防止含め)徹底できる。
🟥「留守番(シッター/ホテル含む)」を優先的に検討すべきケース
- 猫の性格: 神経質、臆病、テリトリー意識が非常に強い。環境変化に極度に弱い。
- 猫の経験: 過去にキャリーや移動でパニックや体調不良を起こしたことがある。
- 猫の年齢: 環境変化への適応が難しい老猫。
- 飼い主の事情: 信頼できるペットシッターや友人、かかりつけの動物病院(ホテル)を確保できる。(※これが最善の選択である猫も多いです)
- 不在期間: 1泊〜2泊程度。
- 滞在先: 家族にアレルギーがある、猫が苦手な人がいる、個室を確保できない。
あなたの決断が、猫との未来を作る
「連れて行く」も「留守番させる」も、どちらが絶対的な正解ということはありません。
どちらを選んでも、猫にとっては「非日常」であり、何らかのストレスはかかります。
私たちの役目は、その「ストレスの総量」を、いかに最小限にするかを考えることです。
私の場合は、「ソラの個性を鑑みた孤独ストレス(リスクA)」よりも、「飼い主がケアできる移動ストレス(リスクB)」を選ぶことが、我が家にとっての最適解だと判断しました。
どうか、世間の「一般論」と、あなたの隣にいる愛猫の「個性」の両方を冷静に見つめて、最良の決断をしてあげてください。
あなたの帰省が、愛猫との絆を試す試練ではなく、絆を深める「素晴らしい体験」になることを、心から願っています。
